2023/04/10 形状・バリ/ダレ改善

厚みのある製品を、ストレートに抜く技術を開発

技術者イメージ

トムソンによる抜き加工(ビク抜き)は、多くの場合は紙・シール・樹脂などの薄い材質を任意の形状に押し切る加工技術です。対象となる材質が薄いとほとんど問題にならないのですが、スポンジ、ゴム、シリコン、厚紙、木材などの材質となると1mm、2mm、3mmと厚くなるため、上から圧力をかけて「押し切る」トムソンによる抜き加工では、どうしても物理的に断面がストレートにならない、といった事が発生します。

このストレートに抜けないという要因の一つに、刃の切れ味というものがあります。少し話は変わりますが、例えば包丁で柔らかいトマトを切る場合を想像してみてください。切れ味の悪い包丁を使うより、切れ味の良い包丁を使った方がトマトの形を崩さずに切ることができますが、押して切るだけだと、うまくやらないと大事なトマトを潰してしまう・・・どれだけ難しいがイメージして頂けましたでしょうか?

話を戻して、上記で説明した刃が切れるかどうか以外にも、トムソン加工の場合は普通に抜き加工を行うと「ストレートに抜けずテーパーになる」という現象が発生します。その原理についてはここでは割愛しますが、形状としては例えば下記のような感じです。

真ん中の穴の部分が、中心に向かってテーパーになっているのがご確認頂けると思います。

このテーパーが問題にならない事もありますが、当社に寄せられる技術相談では、極力テーパーを抑えて欲しい、ストレートに抜いて欲しい!という要望を多く頂いていました。従って当社では、硬い・柔らかいなど材質毎の特性に合わせたトムソン刃の選定(形状・硬さ・表面処理など)に加えて、抜き加工における諸条件を最適化することで、とにかくストレートに抜く技術を開発いたしました。

その技術を結集したものが、こちらです。

  1. シリコン(5mm厚)
  2. 厚紙(2.4mm厚)
  3. EPDMスポンジ(12mm厚)

 

如何でしょうか。厚みのある製品をまっすぐに抜けているのがお分かり頂けたでしょうか?

それぞれの写真をクリックして頂くと詳細ページに飛びますので、内容をご確認頂けますと幸いです。

そのほかの抜き加工品は こちら

 

抜き加工.comを運営する福田工業では、様々な材質に対する抜き加工を、イニシャルコストの低減につながるトムソン加工技術を用いることでお客様のご要望にお応えしています。コストのみならず今回ご紹介したような厚みのある製品をまっすぐに抜き加工する技術のほか、硬い材質を抜き加工する技術、小さく抜くノウハウを保有しております。お困りの製品がございましたらお気軽にお問合せくださいませ。

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