こんにちは、福田工業技術部のWです。
当社は日々、様々な抜き加工のご依頼を頂いております。樹脂や紙といった簡単なものから、硬い金属でも「イニシャル費用のかかかる金型を使ったプレス加工ではなく、トムソン加工で何とかできないか?」といったようなご相談を頂くのですが、今回は少し変わったアルミ箔の重ね切りについてお伝えします。
うんちくはともかく、まずは下記の写真をご覧ください。これはトムソン加工にて、アルミ箔100枚を四角く重ね切りした断面の様子です。
アルミ箔が「1枚」であればトムソン加工でも簡単に抜けますし、重ねたアルミ箔をまっすぐ切るだけであれば全く問題ないのですが、このようにアルミ箔を「100枚重ね」で綺麗に「四角く」抜くには、高い抜き加工技術が要求されます。
通常、重ね切りした場合には、
- アルミ箔が切れず、ダレてしまう
- トマトを切れ味の悪い包丁で切った断面のようなイメージです。加工条件が合わないと中の組織を潰してしまいます。
- 材料が引っ張られる
- 力を均一に加えることができないと、力が集中した部分だけ切れ、他の部分が引っ張られてしまい、断面が均一になりません。
- シワが寄る
- 少し持っただけでもシワが寄ってしまう薄いアルミ箔においては、上記で説明したように力を均一に加えないと簡単にシワが寄ってしまいます。
といった問題が発生してしまいます。
また、この重ね切りは通常のトムソン加工とは大きく違うポイントがあります。それは材料の固定方法です。トムソン加工では多くの場合、材料1枚だけを切る(あるいは接着された複数の材料を切る)ということを行うため、機械に材料をセットし刃をおろすことで抜き加工できますが、100枚重ねたものを固定するには、かなりの工夫を必要とします。
これらの課題を回避するのはとても難しそうに感じますが、今回のようにアルミを100枚重ねて切ってもキレイな断面にできた背景としては、機械のセッティング・材料の固定方法・刃物の選定などはもちろんですが、あらゆる材質の抜き加工に応え続けてきた当社技術の積み重ねにあると自負しています(`・∀・´)エッヘン
抜き加工でお困りの場合は、どんな案件でも福田工業にお問合せください。